【邦楽キナコ録 15】お稽古の合間の土産話。

仙波会お稽古。
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夕暮れの井の頭線、好きだ。日本の夏が好きだ。
じめじめして蚊にかまれて痒くて、
それを差し引いても、好きだ。
お稽古場は、木と畳の匂い。それに笛と太鼓と鉦の音。

心地よくて眠くなってくる。心が落ち着く。
そう、心が落ち着くのだ。
だから太鼓奏者でもないのに、お稽古に行くのだ。
仙波師匠の前で正座して太鼓を叩いてると、
その時の自分が浮き彫りになる。
自分を見つめ直す時間だったりする。

今日の私の「江戸祭囃子」は、明るかった、と思う。
でも凡ミスが多かった。浮かれてるのだ。
それとちょっと頭が取っ散らかってるのだ。
それなりに悩みがある、考える事がいろいろある。
太鼓を叩くと、頭が冷えて、そして「心が落ち着く。」

問題が解決するわけじゃないけど
お稽古の後は、なにかを片付けれたりする事が多々ある。
夏の夕暮れに、ふと風が吹いて心地よくなる、あの感じ。

歌は少し違う。
歌うと「元気が出る」「チカラが湧いてくる」
私の奥から、私の命の火が、燃え上がり、耀く。
って感じ(笑) 涼しさ一切なし(笑)

いずれにせよ、たいせつ。とてもとても、たいせつ。音楽。


ヨーロッパのお土産を持って行った。
音楽の都ウィーン、モーツァルトのチョコレート。
みんな食べてくれた、ヨーロッパの話で盛り上がる。

お土産を買っていく場所がある
渡したい人がいるというのが嬉しい。
一匹狼ならぬ一匹野良猫の私が
どこかへ行くたびいそいそと仙波会への土産を買っていく。

あんな事しました、こんな場所へ行きました
そして私は、こんなことを想いました。
最近ではすっかりネット上だけになってしまった、
そんな「土産話」を膝付き合わせお茶菓子食べながら話す。

なんてことない、食べたら消える、お菓子だけど
そしてお稽古の合間の、他愛もない会話だけど
旅のあとがきを感じる瞬間。


師匠は世界中に演奏しに行かれてて、
しかもその各地の人達と演奏してるから、お話を聞いてると
見たこともない色んな風景が、聴いたこともないその土地の音楽と共に浮かんでくる。

旅は音楽のよう、音楽は旅のよう。
旅に出ると、いつもそう思うけど
お稽古の畳の上でも、同じくそう思う。
自分を見つめ直す事も「旅」だから。

夕暮れの井の頭線は
数えきれない人々の、数えきれない旅の匂いがした。

人は皆、旅人。

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(自主練)
★KINAKO★


by kinako6969 | 2017-07-04 00:46